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ニュージーランドで活動しているフォトグラファー、Masaya Oharaの3回目のNZでの写真展。

『One day in summer, New Zealand』

ニュージーランドの夏を表現した写真展。
これら写真を見れば、今すぐにでもその場所に出掛けたくなるだろう。

場所:St. George Institute of Learning
期間:2010年2月2日(火)〜26日(金) 10:00〜16:00

2月26日に無事終了しました。
色々の方にお越し頂き、そして、気に掛けて下さり、とても嬉しく思いました。
そこでの様子を写真を交えてご紹介したいと思います。

 

【切っ掛け】

『期間限定でもまさやさんの写真が飾られていたら素敵だな〜』
という一言から決まった今回のAucklandでの写真展。

12月に話が持ち上がり、2月に実施するというかなり急な展開の写真展でした。

さて、写真展が決まったはいいけれど、展示する写真のテーマをどうしよう、と考え込みました。
日本と同じように「恋人達に捧げるニュージーランド」のようなものにしようか。
いや、あれは詩がポイントにもなる。
展示先は、現地の英語・専門学校。
変な英語は見せられない・・・
これはダメだ。

5月の個展でする予定のテーマを先取りでしようかと思ったのですが、ちょっと違うな、と。

色々と考えた結果、写真展が開催される時は夏真っ盛りだから、夏らしいNZ写真を展示しようという考えに至りました。
それら写真を見て、すぐにでもそこに行ってみたい!と思ってもらえるような写真を展示するのです。

夏の写真は結構あるから楽だな、と安易に考えていたのが間違いでした。
写真を選んでいると、上記のコンセプトに沿う写真や夏らしいNZ写真、魅力的な夏のNZ写真が意外と少ないことに気付きました。場所によっては一枚もない、なんていうことも。
それでもなんとか選び出すことが出来ました。

次の問題点。
プリント。
日本でのように、手頃な値段でいい質のプリントがここで得られたら嬉しいのですが、残念ながらそうもいきません。
日本と同じようにA3サイズでプリントしたら、一体いくらになるのだろう?
それだけ投資して、果たして元は取れるのだろうか?と検討してみました。
結果、A3サイズでの展示は諦めました。
サイズはA4サイズとし、自分の家のプリンターでプリントすることに。
サイズが小さくなった代わりに、数で見せることにしました。

次の問題。
写真を収めるフレーム。
日本と同じようにマット・スタイルで展示しようと思いました。
が、展示する場所は、単なる壁。
ギャラリーのように、ピクチャー・レールなるものはありません。
だから、何らかの形で写真を壁にくっつける必要性があります。
このマットとくっつける道具のコストを考えると、結構な値段になり、頭が痛くなりました・・・
さて、どうしようかなぁ、と悶々と悩んでいた時、こちらのディスカウントストアのThe Warehouseにて、破格値のフレームを発見!
見た目もいいし、これはいい。
そして、重さもそれほどないので、こちらにある便利なツールBluTack(粘着性の粘土のようなもので、それでフレームを壁に固定する)で取り付けられそう。
このフレームを発見したことにより、一気に、見た目、コスト問題もクリアーしました。

写真展までの1ヶ月の間、上記の問題点を解決するために悶々としていましたが、ことあるごとに解決できて、本当によかったです。

最終的に、テーマに沿った写真は30枚、企画写真8枚、自己紹介を兼ねた日本の写真4枚、という展示内容となりました。

そして、写真展当日を迎えました。

展示の様子はこちらの写真群をどうぞ。

 

【写真展会場写真集】

Aucklandの町のど真ん中に位置するビルの学校内での展示でした。
エレベーターから降りるとこういう案内が。

 
受付の正面から開始です。
 
「夏のある日」がテーマなので、色々な場所の時間を切り取り、朝から開始しています。
 
全体。
 
仕事仲間であるAmicaleNZさんからお花を頂戴しました。有り難うございました。
 
左側の壁。
 

企画写真。この赤い壁に負けないようなものを考えました。

題名は、「Madness on a new year's day 2010」。
Christchurchでのカウントダウンの様子、初日の出、昼の様子。
そういう平和な日の夜は、狂おしいほどの美しい夕焼けとなりました。
その対比を見せられればと思い、企画写真としました。

 
企画写真側から見た様子。
 

自己紹介。
自分のアイデンティティーである日本を見せたかったのです。
左から、姫路城の桜、嵐山の桜、自己紹介文、写真を本格的に始める切っ掛けとなったHayley Westenra、貴船の紅葉、嵐山の紅葉。

 
 

【思ったこと色々】

今回の写真展は、1ヶ月という長期のため、初日と最終日のみ現場にいることにし、それ以外は必要に応じて現場に行くようにしていました。
初日は、僕の仕事関連の人達がたくさんいらしてくれ、とても賑わいました。
2日目は、キャプションと一部写真の入れ替えのために現場に行くことにしました。
誰も来ないだろうと思っていたら、ひょっこりと友達が現れました。
その人曰く、僕がいないことは知っていたけれど、仕事の休みの都合で、この日に来てみた、と。
この言葉を聞いた時、反省しました。
呼び出しがあればすぐに現場に行く予定でしたが、直前まで予定がはっきりせず、急にいらっしゃる人もいるかもしれません。
その時、僕が現場にいなかったら、残念に思われるのではないか。
そして、僕にとっても、新たな出会いのチャンスを見逃すことになるのではないか。
その反省を元に、現場にいる日付を大幅に増やしました。
1週目は、初日の2日(火)、5日(金)
2週目は、9日(火)、11日(木)
3週目は、15日(月)、17日(水)、19日(金)
最終週は、毎日

実際は、僕がいない時にもいらして下さった方もいらしたようですが、それでも、日付を増やしたことによって、色々な方とお会いし、お話をさせて頂く機会を得ました。
(お会いできなかった方、本当に申し訳ありませんでした。)

僕自身、手を抜いたつもりはなかったのですが、やはりこういう展示会では、例え1日に一人しかいらっしゃらなくても、いえ、誰もいらっしゃらなくても、現場にいることが大事だな、と思わされました。

写真展の醍醐味は、『人との出会い』ですから。

今回の写真展でも、色々と思うこと、得ることがありました。
それを箇条書きにしてみました。

・この学校のスタッフや生徒を除き、来て頂いた方は、50名以上。
 僕がいない時、かつ、ここのスタッフが不在の時にいらした方もいらっしゃるかもしれませんので、「以上」と書きました。
・展示写真群を見て、旅行に行きたくなった、と言って下さる方が何人もいらっしゃいました。
 今回のコンセプトを考えると、これは成功でしょう。
・NZ在住の人でも、それほど旅行をしている訳ではないようです。
・人気写真は日本同様、Tekapoの星空でした。他には、Lake Mathesonの朝の様子。Cape Reingaの月と灯台。野生動物が写っている写真も好評でした。
 全体的に、昼間の写真よりも、朝や夕方以降のドラマチックな写真がウケていました。
・Kiwiであっても、Southern Crossを認識できない人がいるようです。
・平日しか開けられなかったのが残念でした。土日しか動けない人もいたと思います。
・もう少し大きなサイズで見たかったという声がいくつもありました。
・一般的な個展ではないので、比較するのは難しいのですが、「買う」ことを目的にして来てくれているわけではないので、なかなか物は売れませんでした。
 ビジネスという点では、失敗だったと言わざるを得ないでしょう。

番外編として、お願いされて、この学校のコンピュータ・グラフィックス・コースの学生のために、写真という観点から講義をしました。
(構図やホワイトバランス、明るさ調整について、1時間ほど英語で講義。特に、構図はとても大事なので、そこを重点的に。また、プロが出す写真は、それが完成形でもあるので、出来るだけそれを尊重してほしい。もし、トリミングをする必要性があるなら、構図の法則(三分割法、Rule of Third)に沿ってしてほしい、という旨のことを伝えました。)
英語での講義は初めての経験でしたので、はっきり言ってボロボロでしたが、先生や学生はよかったよ、と声を掛けてくれました。
今後のいい経験になったと思います。

今後の課題としては、
・NZでNZ風景写真の個展をする意義の検討。
 Kiwiが見ても、え?こんな場所や風景もあるの?と驚いてもらえ、かつ、そこに行ってみたい、と思えるような写真群であれば、魅力的であるようです。
・物を買ってもらえる仕組みの確立。
・個人でする個展の場合は、土日も開けるのは必須。

ここAucklandでの写真展でも、日本では見えなかったことが色々と見えました。
いつも手探り状態でやっていますが、それでも、毎回得られることがあります。
それらを積み上げていって、少しずついい個展、写真展が開けるようにしたい、と思っている次第です。

来て頂いた方、そして、気に掛けて頂いた方、本当に有り難うございました。
心より、お礼申し上げます。

最後に、今回の写真展の発案者からのコメントで締めたいと思います。


【発案者St. Georgeのスタッフみかさんからのコメント】

まさやさんの写真が学校にあれば素敵だなと単純に思ったことが機会となり、1ヶ月の間にたくさんの方が写真展にお越しになられ、写真を楽しんで頂けたことをとても嬉しく思います。
移動したばかりのキャンパスの壁に約40点の写真が飾られた後は、 キャンパスの雰囲気が明るくなり、先生、生徒さんの目が輝きました。
もちろん私の目が一番輝いていましたが(笑)
生徒さんの多くがNZに来てすぐに学校に通学されるため、オークランドから出られた事がなく、まさやさんの写真を見てたくさんの刺激を受けました。
旅行に行く予定がなかった生徒の何人かは、写真を参考にTripを計画したようです。一方で、すでに写真の景色を知っている生徒も、違う視点で何かを感じたようで、また行ってみたいという気持ちになったという声を聞きました。

まさやさん、日本の風景写真とNZ風景写真を見比べるのってとても興味深いですね。NZの景色の壮大さを改めて感じた一方で、姫路城の桜や京都の紅葉の写真を見て、NZの景色の中では感じられない、日本が持っている趣の深さ、あのシンとした感じをNZで味わうことができました。

一ヶ月どうも有難うございました。
今後も、まさやさんの写真を楽しみしております。

 


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